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134話 最初に入れるもの

Author: 八月 猫
last update publish date: 2026-09-21 09:00:08

 器を買ったあと、私はもう一度『余白の席』の前に戻った。

 さっき見た時より、写真の中のテーブルが少し近く感じる。

 バッグの中には、買ったばかりの小さな深皿がある。

 その重みを意識すると、展示をただ見に来た人ではなく、何かをひとつ持ち帰る人になった気がした。

 写真の中の椅子は、相変わらず静かに空いている。

 でも、もう寂しくは見えなかった。

 そこには、次に何を置くか決められる余白がある。

 私はノートを開き、さっきの作家さんの言葉をメモした。

『器は、使う人の生活に入ったら、その人のもの』

『買った時が完成じゃない』

 書いてから、胸の奥が少し温かくなった。

 私の部屋も、たぶんそうだ。

 契約して鍵を受け取った時に完成したわけではない。

 カーテンをかけて。

 クラゲを置いて。

 花瓶を選んで。

 千尋や森下さんが来て。

 毎朝ヨーグル

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